システム手帳・ペンケース・革財布の通販サイト【Domei.m.e 遠藤道明第2回】

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CカンパニーTOP > コンテンツ > クリエーターズ・インタビュー > Domei.m.e 遠藤道明第2回

街角にクリスマス・ソングが流れる12月中旬、東京都入谷にある「lux DI CLASSE」に、遠藤道明さんを訪ねました。

「インタビューのリクエストの時、ラフ・スケッチを見せてくださいとあったので、いろいろ探していたら、25年前のスケッチ・ブックが出てきたんだよ」と言いながら、スケッチ・ブックを広げ始めた遠藤さん。

私の言葉足らずのリクエストに応えようと準備してくださった、遠藤さんの誠実な人柄が伝わってきます。

なお、遠藤道明さんは、海外で活躍することも多く、デザイナーとして「Domei.m.e」を名乗っています。
ここからは、デザイナーDomeiさんのスケッチや仕事について、お伺いしたいと思います。

*  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *

Domei 25年前の最初の頃のスケッチ・ブックが出てきたんだよ。照明とは全然関係ないんだけどね。

25年前のスケッチ・ブックですか?!お宝じゃないですか?!

Domei 懐かしいよね。店のことを描いていたりしてたのかな、これは灰皿かな・・・。


あっ、これは、家具ですかね?

Domei そうね。什器かな?25年前だと忘れちゃうよね(笑)

「今もスケッチは描いているのですよね?」との私の問いに、
「だいぶ捨ててしまったので、一部なんだけどね」と言いながら、
電話帳ほどの厚みのA4サイズの紙の束を持ってきてくれました。

Domei 最近のスケッチは、A4の紙に描くことが多いです。
スケッチでは、ディティールを描いたり、イメージ・スケッチをして、サイズや角度などバランスを決めたりします。

デザインする時間は、どのように作っているのですか?
社長である遠藤道明さんと、デザイナー&アーティストであるDomeiさんの時間の使い方がとても気になります。

Domei 日中は社長として、ジャッジをしなければいけないので、ゆっくりデザインを考える時間はまず取れないから、スタッフが出社する前の30分とか、帰った後の30分に、スケッチを描くようにしています。

う〜ん。社長さんの仕事だけでも多忙を極めますものね。
考える時間をつくるとなると、やはり、そうなるか・・・。

Domei 日本にいると、ジャッジ・ジャッジの連続でなかなか時間は取れない。
なので、デザインのインスピレーションを得るために海外へ行って、数日滞在しゆっくり考えることはよくやります。

先日もハワイに行ってきたんですよ。

ハワイへ?!ひとりで行かれたんですか?

Domei そう。ひとりで行って、サーフィンを楽しんで、あとは、ホテルにこもって。
テレビを点けないで、時々海を眺めたりしながら、スケッチを描いたりね。

うわっ。ステキ!恰好いいなあ〜。

Domei 東京でデザインすれば東京で売れるものができる。
フランスでデザインすればフランスで売れるものができる。

その地に行って、人々の暮らしを想像しながらデザインすることで、その地の人々が求めているものができると思うんですよ。

では、もっと具体的に、この照明(→右写真参照)。
レトロ感もあるけど、スタイリッシュで素敵です。

パリやロンドンのコンラン・ショップでも人気だと聞いていますが、この照明をデザインした時は、どんな感じでしたか?

Domei これは、フランスのアルルへ行ってカフェに座っていた時、ある女性がふと帽子に手をやっている姿を見て、ひらめいたんだ。

製品名のArlesはアルル地方のアルルだったのですね。
「フランスでデザインした作品がフランスで売れる」
Domeiさんの言葉通りですね。

Domei デザインの時間をつくってデザインすると言っても、デザインというのはヒラメキだから、
「あっ、こういうの作ったらおもしろいな」と思った時に描かないとダメだよね。

  たまに夜中に、夢の中にヒラメキが出るから、そういう時は電気を点けて描いたりして。

なんでだろう?なんで、夢の中に出るんだろうと思うけど・・・

あっ。私も数は多くはないけれど、うんうん唸るほどデザインを考えていて、でも出てこなくて、
もうできない、無理!と思って、ベッドに横になったら閃いた、という経験があります。

Domei うん。それは突然閃いたのではなく、基本的に朝から晩まで、ずっと頭の片隅で考えているから、そういうものが出てくるんだと思うんだよね。

朝から晩まで、ずっと頭の片隅で考えている。確かにそうかも知れません。

では、この照明「Natuer DI CLASSE(ネイチャー ディクラッセ)」(→右写真参照)は、どのようにして生まれたんですか?

Domei 僕は入谷で育ちました。この辺りは都会で、周りに木はなかった。

子供の頃、親せきがいる田舎に行って、夜寝る時、耳鳴りがしたんです。

田舎の夜って静かなの。音はしないんだよね。

音はしないのに、耳鳴りですか。

Domei 当時、僕の家は大通り沿いにあって、夜、車の音を聞きながら寝ていたんですよ。

そのくらい、僕にとって、自然は、思いっきり違う環境だった。
だから、鮮明に記憶に残り、自然に対する憧れのようなものを感じていたんだと思います。

「木漏れ日の景色を照明にしたい」
そう考えて、アトリエで試作を作りました。

生の葉で作ってみたり、素材を変えてみたり、葉の形・色・大きさ、いろいろやっていくうちに、アトリエはお化け屋敷みたいになってしまった(笑)

お化け屋敷(笑) 
「木漏れ日の景色を照明にする」というアイデアがひらめいてから、どのくらいの期間で「この形にしよう」と思えるものができたのでしょうか?

Domei 試作づくりだけで約1年掛かりました。

試作で1年ですか?!

Domei はい。製品化までに、さらに1年。
できあがったものを見ると簡単に見えるかもしれないけれど、12番の葉っぱを15番につけて、といった具合で、とても複雑な製品なんです。だから、製品化までは2年掛かっています。

この葉っぱ、触ってもいいですか?

Domei どうぞ。これはイミテーションなので。

それはそうですよね。生花では枯れてしまう・・・。

Domei 2007年に、MAISON&OBJETへ、この照明を持って行った時のことです。
あるバイヤーが来て「イミテーションは、私は好きじゃないのよ」と渋い顔をしたのです。

MAISON&OBJET。フランスで開催される欧州最大級のインテリア・デザイン見本市ですね。

Domei はい。でも、そのバイヤーに「この製品は照明の形ではなく、影をデザインしている」と伝えました。

確かに、アイデアのヒラメキは木漏れ日。影をデザインする・・・

Domei 照明デザインは、外観のフォルム(かたち)をデザインする人が多いけれど、僕は照明を点けたときの影をデザインした。

それを聞いたバイヤーは、口を大きく開けてね。
「なるほど、それは理にかなっているかも知れないね。形をデザインする人はたくさんいるけれど、影をデザインする人はいない」と感激してくれたんです。

どこの国の人でしたか?

Domei フランス人。
フランス人は好き嫌いがはっきりしている。好きになると、とことん気に入ってくれるんだよね。
浮世絵、日本の侘び寂びを見出したのもフランス人だし、フランス人は新しいものを受け入れるセンスを持っているよね。

世界が認めた光と影のデザイナーDomei。
Domeiデザインの照明は、オブジェとしてのフォルムはもちろん、明かりを点けた時の影が幻想的で素敵です。



Domeiデザインの光と影を体験したい方は、東京都入谷にある「lux DI CLASSE(ルクス・ディ・クラッセ)」へ出掛けてみてください。光と影が織りなす特別な空間を楽しめます。



ところで、Domeiさんがいらしゃる前に、あの椅子においてある絵を拝見したのですが・・・。

Domei これは、アーティストDomeiとして、僕が描いているアートです。

Domeiさんが描いているのですね。

Domei 海外では、一般家庭でも、原画をさりげなく飾っているけれど、日本の場合、原画はお金持ちのモノという感じですよね。

はい。原画が飾ってある家はお金持ちです(笑)
Domei それに、日本の家の壁って、ツルッとしていて凹凸がない。影がないんだよね。

確かに、確かに。

Domei だから、一般家庭でも買えるギリギリの価格設定の原画、日本の家に陰影というアクセントを作り出すアートを提供したいと考えて、原画を描くことにしたんです。

このアートのテーマはCloud、雲です。

原画なのですね。きれいです・・・。これは、青空にかかる雲ですね。

Domei そう。青空にかかる雲です。
雲は天候や景色によって色が変わる。芝の上に浮かぶ雲ならグリーンを帯びている。

自然から抽出した空と雲をテーマに数種類、描いています。

好きな色を選んでもらえたらと思ってね。

この原画の配色からカラーを決めてインテリアをコーディネイトしたら、おしゃれな部屋になりそうですね。

例えば、ダイニングテーブルに、手前の雲の色のテーブルクロスをひいて、その上に、バックの青空の色の
テーブルマットを置いて、白いお皿を並べる・・・想像が膨らむな〜。

Domei そこに飾ってあるのが原画だったら、いいでしょ?

本当に。原画がある家も夢じゃない。日本の文化力アップになりますね。

お話を伺っていると、あれもステキ、これも欲しいと思ってしまうほど、じっくり考えて生み出された美しい品々。

迷っている私に「今日は特別に」と、照明をひとつ差し出してくださいました。

Domei これね。フッと息をふきかけると、消えるんだよ。

まるでロウソクのような小さいオレンジ色の明かり。

「夜はね、暗くして、何も余計なことは考えないことだね」と言って微笑むDomeiさん。

「時々眠れなくなることがある」と言った、わたしへのプレゼントだったのです。

別れ際、「今度はこれね」とお酒を飲むしぐさをして見送ってくれました。

ハワイでサーフィンを楽しみ、海を見ながら考えたデザインは、どんな製品になるのでしょうか・・・。

今度も、Domeiこと遠藤道明さん率いるデザイナー集団「DI CLASSE(ディ・クラッセ)」がどんな製品を届けてくれるのか、本当に楽しみです。

クリエーター:Domei.m.e(照明デザイナー&アーティスト)
インタビュー:ワタナベアケミ(Cカンパニーデザイナー)

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