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2月の良く晴れた日、府中にある浅香信太郎デザイン室にお邪魔して、浅香さんが手掛けてこられた建築の話をお聞きした後、いよいよ、この『クリエイターズ・インタビュー』が生まれるきっかけになった、浅香さんが使い続けているという『ノート』を見せていただくことになりました。

「手紙舎で話したノートのことね。これですよ。これ。」そう言いながら、机の上にノートを置いた浅香さん。

半年くらい前に、調布にある手紙舎というCafeで、浅香さんと会って世間話をしていた時のこと。
何気なく聞いた「使い続けているノート、リピートしているノートとか、ある?」に対して、少し考えてから「あるよ。これだよ」とiPhoneで検索して見せてくれました。

でも、私が見たいのは、新しいノートではなく、浅香さんが使っているノートの中身だったのです。
 
*  *  *  *  *  *  *  *  *  *  
 
 
そうそう。それです!建築家はどのようにノートを使っているのか?
ぜひ、見たかったんです!!
 
浅香 たいしたモノではないのよ。コクヨの普通のノート。
自宅には何十冊もあるんだけど、今使っているノートを見せようと思って。
 
はい。一冊あれば充分です。ありがとうございます。
早速、中身を見てもいいですか?
 
浅香 どうぞ。A4よりも一回り小さいB5サイズ。
このノートの良いところは5mmマスになっているところ。
 
B5サイズというと大学ノートサイズ、5mmマスの方眼ですね。
 
浅香 5mmマスだと、ディテールを考える時も便利だし、プランニングするときも、1/50だったら、2cmで1mだから全体像はこのくらいの大きさになるなとか。
 
 
浅香 そんなの描きながら、端っこのディテールはどうするのかな?とかさ。
全体像とディテールを合わせて描ける。
 
 
浅香 アケミがデザインを描くときは、実物大かな? 小物なんかは実物大に描けるか。
鞄を描くときは、スケールを考えて描くの?
 
実際の図面を描くときは、実物大です。財布でもバッグでも実物大。
 
浅香 図面はそうだろうけど、ラフを描くときは?ノン・スケール?
1/10とか気にしないの?

はい。ラフ・スケッチはノン・スケール。特に最初のラフは、全然気にしないで描いています。

浅香 そっか。建築の場合は、スケール感がないとアウトじゃない。
例えば、自分が座ったときの周りの空間のスケール感って大事じゃない。
天井の高さはどれくらいかとか、机の横を通ったときに、狭いか広いかとか。
ラフ・スケッチを描くときも、ちゃんと奥行とか高さとか考えて、図面に等しいスケールでスケッチを描く様にしているんだよ。
 
図面に等しいスケールですか・・・?
 
浅香 そう。例えば、このスケッチ。子供の身長はこれくらいで、大人の身長がこれくらいだと、机と椅子の高さはこのくらいで、窓の高さはこのくらいだから窓を開閉する引手の高さはこのくらいかなとか。実寸のスケールを考えながら描いてみるんだ。
 
 
浅香 このスケッチでは、保育士が使う洗濯機の高さはこうだから、洗濯機の上には棚が2つ作れるな。
子供が自分で靴を履けるように段差があったら良いなとか。
子供って段差がないと靴履けないじゃん。
 
 
うんうん。小さい子は座らないと靴を履けないですよね。
 
浅香 子供の靴は臭いから通気窓が必要だなとかね(笑)
 
すごい、すごい!わ〜、考えてる〜。臭いですよね、子供の靴〜(笑)
それにしても、そこまで具体的に想像してスケールも考えながら描くのですね。
 
浅香 子供たちの大きさはこのくらいで、と想像しながら、具体的に図面に持っていく。
いわゆるラフ・スケッチなんだけれど、ラフな段階で具体的なスケール感も考えながら描いているんです。
そうして全体像が見えるようになってから、いったんパソコンに載せてみるの。
 
 
すごいなぁ〜。ラフ・スケッチがそのまま図面の下絵になってしまうのですね。
 
浅香 そこから、リアルに寸法を考えて行って、縮尺を細かくして描いているって感じです。
5mmマスだと、1/100=1cm=1m、とスケール感をもってかけるので重宝しています。
 
この1冊で1物件のアイデアをまとめているのですか?
 
浅香 いや。一つの物件にかかっている間にも、他の物件が入ったりするから、物件ごとではなく、その場その場で考えた、自分のアイデア・スケッチを描いています。
 
なるほど。アイデア・ノートなんですね。
図面はパソコンですよね?アイデアはアナログ?
 
浅香 俺らは、パソコンがない時代から設計しているじゃない。
 
確かに、確かに。(笑)
 
浅香 アイデアはパソコンに向かっているときは出てこない。アイデアはアナログですね。
 
アイデアはアナログ。パソコンはアウト・プット。同感です。
 
浅香さんからノートの存在を聞いてから半年間、見たい見たいと思い続けたノートには、5mm方眼を活かした建築家ならではのアイデアと、建物を使う人々への愛があふれていました。
 
この後も、三角スケールの使い方やどのようにして図面を起こしているのかなど、興味深い話を夢中で聞いていたら、空はすっかり暮れていました。

今日は、初のプレミアム・フライデーだし、折角だから食事にでも。ということになり、浅香さん行きつけの手打ち蕎麦ほてい屋に。

「有泉さん。植木さん。五十嵐君にしても、保育園でお世話になっている皆さんにしても、やっぱり人だよね」と話す浅香さん。

ひとつひとつ丁寧に信用を築いてきた確かな自信と、人々への感謝の思いが伝わってきます。

保育園の建設は、準備から完成まで約2年はかかるとのこと。
今手掛けている保育園が完成した後の子供たちが走り回る姿や賑やかな声を想像し、陽だまりの中にいるような温かい気持ちを胸に、府中を後にしました。
 
クリエーター:浅香信太郎(一級建築士、建築デザイナー)
インタビュー:ワタナベアケミ(Cカンパニー デザイナー)

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