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街角にクリスマス・ソングが流れる12月中旬、東京都入谷にある「lux DI CLASSE」に、遠藤道明さんを訪ねました。

「lux DI CLASSE(ルクス・ディ・クラッセ)」は、Domeiこと遠藤道明さん率いるデザイナー集団「DI CLASSE(ディ・クラッセ)」が運営する照明専門のギャラリー&ショップ。

2016年11月5日に「lux DI CLASSE」にて『北欧を感じる1日展』と題した「北欧パーティと森百合子さんトークショー&ムーミン新作照明発表会」へお邪魔して以来、2度目の訪問です。

*  *  *  *  *  *  *  *  *  *  

先日いただいたカタログを拝見して、遠藤さんに何をお聞きしようかと勉強した(笑)のですが、作品数も活躍のスケールも大きくて迷ってしまいました。

まずは原点に戻って、DI CLASSE(ディクラッセ)を設立した経緯について、教えていただきたいと思います。

遠藤さんは営業(職)をしていた時期があるとお聞きしました。
いつ頃の話ですか?

遠藤 多摩美術大学を卒業後、デザイン事務所を経て、25歳の時に(株)インデックスです。

あっ、インデックス。後藤陽次郎さんのところですね。

遠藤 はい。インデックスに入って、輸入と営業を覚えました。

そうだったのですか?!デザイン職じゃなかったのですね?!

 

DI CLASSE(ディ・クラッセ)


2008年GOOD DESIGN賞受賞。
MAISON&OBJET連続出展。
TOPDRAWER & HOME連続出展。
2017年9月にロンドンで開催されたTOPDRAWER & HOME展にてトレンド商品に選ばれるなど、日本はもちろん、パリ・イギリス・ドイツなど海外でも人気の高い照明器具ブランド。

遠藤 はい。当時から30歳で独立すると決めていたので、「デザインができるだけじゃダメだ。まずは営業を覚えないと」と考えた訳です。

すごいな〜!30歳で独立すると決めていたんですね!
確かに、デザインができるだけでは仕事は成り立たないですものね。

私が25歳の時はチャラチャラしていたのに(笑)
遠藤さんは、25歳でそのことに気が付いたのですね。さすがです。

では、デザインを本格的にはじめたのは、DI CLASSE(ディクラッセ)を設立した後になりますか?

遠藤 DI CLASSE(ディクラッセ)設立当初は、輸入・販売からスタートしました。
日本に「白い光」しかない時代に、フォスカリーニのベネチアンガラスを使ったカラフルで近未来的な照明器具を輸入・販売していたんです。

そこから、ナチュラル・テイストの照明器具を自社開発して、徐々に、オリジナル製品を増やしていきました。

現在、DI CLASSE(ディクラッセ)はすべて、自社開発のオリジナル製品です。

先日の新作発表会の時にいただいたカタログを拝見したら、180アイテム掲載されていました。
年間で、どれくらいのアイテムを発表しているのですか?

遠藤 その年によって、数にバラツキはあるけれど、去年は35アイテム廃盤にして、30アイテム追加しています。

年に30アイテムも新型を作るのですか?!すごいなぁ。

先月発表のムーミン新作照明は、遠藤さんがデザインしたのでしょうか?

遠藤 ムーミンはスタッフにほとんど任せました。
自分は、確認というかチェックだけです。
DI CLASSE(ディクラッセ)は基本的に白熱灯を使っています。白熱灯は、電灯との距離など難しいところがあります。基本はデータで管理していますが、念のため、最後のクオリティー・チェックを。それぐらいかな・・・。

DI CLASSE(ディクラッセ)さんが白熱灯にこだわる理由って、どんなことですか?

遠藤 コンセプトを話すと長くなるけれど、そのカタログの表紙と裏表紙にもコンセプトが隠れているんですよ。

えっ?! 表紙と裏表紙に?

遠藤 このカタログの裏表紙は、青白い蛍光灯の光=現在の東京の夜景です。

表紙は、東京の人々みんなが、DI CLASSE(ディクラッセ)の明かりをつけたら、東京の夜景はヨーロッパみたいな優しいオレンジ色の夜景になるということを表現しています。

本当だ。東京の夜景って青白い。

以前イタリアに行った時に感じた、深く優しく包み込むような明かりの正体は白熱灯だったのですね。


遠藤 青白い蛍光灯の光というのは、自然界の太陽の光です。

現代の日本の明かりは、昼間の太陽のような明るい光へ傾倒していて、夜になっても、昼間のような明るさの中にある。これは、長時間働くためには優れたことですが、人間としての暮らしや健康を考えると「違うんじゃないか?」と思うのです。

確かに、私も、遅くまで仕事をした日や遅くまで外出した日は、夜ベッドに入っても、疲れているのになかなか寝付けないという時があります。

遠藤 蛍光灯だと、メラトニン分泌液の量が少なくなるからね。

メラトニン分泌液?蛍光灯だとメラトニン分泌液の量が少なくなるんですか?

遠藤 昼間は太陽の光で交感神経になっている自律神経は、日が傾いてきて、夕陽やたき火のオレンジの光を見ることでメラトニン分泌液の量が増え、副交感神経に変わります。

九州大学などでも研究されていることですが、4日間蛍光灯の元で寝た場合の数値と、白熱灯の元で寝た場合の数値を、それぞれ尿を採取しメラトニンの分泌量を検証した結果、白熱灯の元で寝た後の方がメラトニン分泌液の量の比率が4:6の割合くらいで増加する、という結果が出ています。

えっ?!そんなに違うのですか?! 

遠藤 本来、人間は、昼間は太陽の光を浴びて仕事をし、夕陽を見て、たき火を見て眠りにつく、というサイクルでした。
オレンジ色の光を浴びることで、熟睡度が増し、熟眠することで人間治癒力が増し、脳が活性化する。

けれど、現代人は、蛍光灯の下で生活し、交感神経のままで寝てしまう。だから、熟眠できず、不眠症も増えていると言われています。

蛍光灯の光からルクス(国際単位系 (SI) における照度の単位)を徐々に下げていって、4日間オレンジ色の光の元で寝ると不眠症が治るという検査結果も出ているんですよ。

えっ、照明で不眠症が治るのですか?

遠藤 例えば、蛇に襲われた経験もないのに、映像で蛇を見たときに怖いと思うのはおかしな話ですよね。けれど、蛇を見ると「蛇は怖いものだ」「危ない」と判断するように、脳が勝手に動いてくれる。

蛇を見ると危険だと察知する情報は遺伝子の中に組み込まれているものです。

オレンジ色の光を浴びると、そろそろ寝る頃だと、体が休息の状態に入ります。
これも遺伝子に組み込まれていて、脳が勝手に反応するんです。

遺伝子の記憶と明かりの関係。なぜ、そのことに気が付いたのでしょうか?

遠藤

この照明(Nature DI CLASSE(ネイチャー ディ クラッセ)を作ったとき、たまたま35℃くらいある暑い日に、パッと照明を点けたら、涼しく感じたんです。

照明を点けた以外は何も変わらない。
なのに涼しく感じるのはなぜだろうか?

そう疑問に思って、それから、脳科学を勉強しました。

「木漏れ日の中に入れば、リラックスして涼しく感じる」

「オレンジ色の光を見ると、そろそろ寝る時間だなと体が準備をはじめる」

自然の中で生活していた頃の、人間本来の記憶は20万年前から遺伝子に記録されている。
人間が明かりを点けるようになって、日本の場合で約70年。
でも、70年や100年単位では、遺伝子の記憶は変わりません。

光と健康は密接にかかわっている。
ならば、家の中の明かりはオレンジ色にするべきだという考えに至ったのです。

原始時代から続く人間の記憶。太陽がもたらす日の出、日の入りに添った生活サイクル。
そして、現代社会の自然に逆らうように明るい照明。

会社もコンビニも、LEDだとか、天井いっぱいにある蛍光灯だとか、
世の中はどんどん明るい照明になってきているように感じます。

遠藤 マーケティング的にいうと、明るい光の方が売れるんです。
だから、もっともっと、と、ドンドン明るい照明が作られていく。

でも、DI CLASSE(ディクラッセ)の場合は真逆です。

職場では明るい光のもとで仕事をする訳だから蛍光灯を使えば良いけれど、
夜、家に帰ってリラックスする時や、健康のことを考えると、
白熱灯のオレンジ色の光にしたほうが良い。

化学が発展し、薬もいろいろ開発されていますが、
本来、人間に備わっている自然治癒力を高めることが一番の治療だと思うのです。

自然治癒力を高める、オレンジ色の優しい光を届けたいと考えています。

確かに夜間でも昼間のように明るく照らし続けることは、自然本来の生活から遠ざかること。

人々の健康と暮らしを考えた明かり、それがDI CLASSE(ディクラッセ)の照明なのですね。

遠藤 帰宅して、リラックスして、熟眠したいなら、DI CLASSE(ディクラッセ)。

旦那さんが嫌いで、もっと働かせたいなら、蛍光灯を点ければ良いわけです(笑)

え?そんな方法があったのですね(笑) ・・・

まだまだお話をお聞きしたいところですが、そろそろ遠藤さんのデザインについて
お話いただけたらと思います。

スケッチ・ブックもご用意くださったのですね。

遠藤 インタビューのリクエストの時、「ラフ・スケッチを見せてください」とあったので、いろいろ探していたら、25年前のスケッチ・ブックが出てきたんだよ。


そう言いながら、笑顔で話す遠藤さん。

日本はもちろん海外でも愛されているDI CLASSE(ディクラッセ)の照明器具が、
どのようにデザインされているのか?
デザイナー&アーティストDomei.m.eの貴重なお宝スケッチの写真とお話は次回。お楽しみに!


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