システム手帳・ペンケース・革財布の通販サイト【植草桂子 イラストレーター・アーティスト 第1回】

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CカンパニーTOP > コンテンツ > クリエーターズ・インタビュー > 植草桂子 イラストレーター・アーティスト 第1回

 

3月の連休明けの火曜日。表参道にある「ギャラリーニイク」と「ホワイトスペース」の2か所で開催された『イラストレーター 植草桂子 個展』に、植草桂子さん(以降、桂子さん)を訪ねました。
桂子さんは御茶ノ水美術学院(美術系予備校)の先輩ですが何十年もお会いすることはありませんでした。でも、わたしは、桂子さんのイラストを拝見していて「会いたい、会いたい」と思い続けてきました。Facebookでようやく繋がって、それでもすれ違いでなかなか会えない。そんな折、桂子さんが個展を開催すると聞きつけ、インタビューをお願いしたのです。

個展はオープニング・パーティーのあと、すぐに三連休という日程。
わたしはオープニング・パーティーへお邪魔して、この日は2度目の訪問でした。
人気イラストレーターさんなので土日・祝日はお客様が多いでしょうからと、連休明けの平日に、ホワイトスペースを訪ねました。

 
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お忙しいところ、申し訳ございません。
 
植草 いえいえ、何度も来ていただいて、ありがとうございます。
 
わたし雨女なので、降っちゃいました(笑)
 
植草 あら?!雨はアケミさんのせいだったのね(笑)
 

雨が降れば、少しはお客様が少なくなるかと思ったのですが、お客様多いですね。先ほど、ギャラリー・ニイクにもお邪魔してきたのですが、あちらにもお客様がどんどんいらしていました。すごい人気ですね。

 
 
植草 ニイクにも行ってくださったのですね。ありがとうございます。
 
桂子さんにお会いするのは久しぶりなので、経歴というか、大学卒業後の活動を教えてくださいますか?
Cカンパニー製品のご愛用者は、30代40代男性がメインですが、実はペンケースなどは学生さんも使ってくださっています。なので、そんな若い方たちに、クリエイターさんがどのようにやってきたのかをお話しいただけたらと思っているんです。
桂子さんは東京藝術大学を出てすぐにイラストレーターになられたんでしょうか?
 
植草 はい。藝大はデザイン科だったので、デザイン職も考えてもいたんだけれど、「やっぱり絵を描くことが好きだ」と思って、卒業後、就職せずにイラストレーターを目指しました。
 
そうだったのですね。イラストレーターになるって決めたんですね。
デザイナーならいったんデザイン事務所や企業のデザイン部署に就職して、そのあと独立という形が多いと思います。デザイナーも同じですが、イラストレーターも資格とかではないですよね。自分が「イラストレーターです」って決めて仕事を得るというか・・・。
 
植草 そう。名乗ればなれる(笑)
 
いやいやいや(笑)例え名乗っても、お仕事がなければプロとは言えませんから。
自分でお仕事を取らないとならないのですよね?
 
植草 そう。フリーのイラストレーターとしてやるなら、自分で仕事を取れなければならないですね。
最初はなんのツテもないし、イラストレーターって何をしたら良いのかもわからなかった。だから、出版関係に勤めている友人とか、そういう人たちに「どうやって、みんな回っているのかな?」ということをお聞きして、「こういう雑誌に載りたいと見当が付いたら、その編集部にアポイントメントを取って行けば良いんじゃないの」と教えてもらって、自分でアポイントメントを取ってね。
 
自分で営業をしたんですね。すごいですね。
 
植草 でも、まあ、それで直ぐにお仕事がもらえるわけではもちろんなくてね。
駆け出しのころは、それこそ、スーパーのチラシも描いたし、ようやく雑誌のお仕事が来たと思ったら、プロセスの説明のイラストとかね、そういうのは結構いっぱい描きましたね。
 
なるほど、藝大卒の桂子さんの実力をもってしても、最初はそういう仕事もされたのですね。
 
植草 雑誌や本の挿絵など、小さなイラストも、それはいろいろやりました。
でも、長くやっているうちに、だんだんと自分がやりたいと思った女性誌のイラストや女性がターゲットになる商品の販促物、パンフレット、ポスターとかのお仕事が増えていったんです。
 
あっ!知っています。わたしは雑誌をむさぼるように読んでいた時期がわりと長くあったんです。正直、その時は桂子さんだと認識していた訳ではなかったのですが、数年前これが桂子さんのイラストだと分かった時、「私は絶対に、このイラストを見てきている。素敵だなと憧れていたイラストは桂子さんが描いていたんだ」って感激したんですよ。
 
植草 あら、そうですか?!嬉しいわ〜。
雑誌の挿絵なんかも本当にたくさん描いたから、見てくださっていたのね。
   
先日のパーティーの時にサインしていただいた、イラスト・エッセイ『毎日がちょっと幸せ』も、本当に素敵ですね。女子あこがれの世界、お洒落なイラストにほっこりする文章が入っていて・・・。
   
植草 ファッション誌やインテリア雑誌など、いろいろ描いているうちに、イラストだけではなくて、ちょっとそこに物語を含ませるのが好きで、文章も書かせていただくことになって、そしたら、イラスト・エッセイの企画があってね。それをまとめたのが『毎日がちょっと幸せ―イラスト・エッセイ』という本になったのね。
 
 
ちょっと幸せ―暮らしの歳時記』『毎日がちょっと幸せ―イラスト・エッセイ』も、ちょっと立ち止まって生活を見直してほっこりしたり、何気ない日常の中に幸せを発見できる良い本ですね。
今回の個展も、桂子さんの持つ世界観が凝縮されているなと感じました。
依頼に対するイラストと個展では違うと思うのですが、いかがでしょうか?
個展のコンセプトを含めてお話くださいますか?
 
植草 仕事はある程度、ご依頼のニーズをいかに叶えてお返しするかだけれど、個展は好きに描きたいものを描いたり、自由に表現できることが楽しくてやっています。

今回の個展は、自由が丘にあるPonoLipo(ポノリポ)さんとのコラボレーションで「女の子から大人になるまでの間の、女性のワクワクできるモノ」をコンセプトに企画しました。ポノリポ・ショップのオーナー小高美保さんとふたりでコンセプトを決めたら、その周りの味付けは私が自由にやらせてもらいました。
 
なるほど。『女性のワクワクできるモノ』をコンセプトにした桂子さんの表現なのですね。桂子さんが直接筆を入れたという、あの白い家具も素敵ですね・・・。
 
 
植草 あの家具はね。無垢の家具の戸山家具製作所『Knock on wood』さんで特注した白塗りのドレッサーに、春の花や生き物たちを手書きで描きいれました。
 
 
素敵ですね〜、オーダーの家具。うっとりするくらい美しいです。
女性って、いくつになっても、ワクワクすることのポイントって、そんなに変わらないですよね。
 
植草 そうよね。変わらない。クリスマス前の、何っていうのではないんだけれど、少しワクワクする感じ。歳を取っても変わらないワクワク感。そういう気持ちをもって、人形も作っています。
 
 
 
家具もイラストも人形も、こういうものを描こうとか、こういうものを作りたいといったアイデアは常々考えている感じですか?アイデアが浮かんだ時、ラフ・スケッチは描きますか?
 
植草 ラフ・スケッチね。インタビュー依頼の時「ラス・スケッチがあったら見せてください」とあったから一応お持ちしました。でも、見ていただかなくても、というくらい汚いものなんだけれど・・・。
 
無理なお願いをして申し訳ありません。
 
植草 「こうゆうのがいいな」とふと思った時にラフを描くことはあるんだけど、アイデアを練ったら、あとは直接下書きをして、下書きが終わったら、ラフ・スケッチは捨ててしまうのね。
 
えっ?!捨ててしまうのですか?
 
植草 もうね、作品を作ってしまったら、ラフ・スケッチは不要なの。シュレッダーにかけて捨ててしまうのよ。
 
え〜、もったいないですね・・・では、アイデアはためずに、一気に作品にして行くのですか?
 
植草 うん。ためない。ためないというか、描き止めないことで、忘れてしまうことは多々あると思います。
後日ひも解いて「そういえば、こういうことを考えていたな」ということはあるけれど、ふるいにかけることで、「たいしたことを考えていなかった」ということも多いから、形にしたものだけでいいやって思っているの。
 
そうか。桂子さんはやっぱり芸術家なんだな・・・。
そういうさっぱりとした感じ、余白があるというか、心のゆとりのようなものが作品にも表れていますよね。
 
植草 そうかな?キャパが狭いからなんじゃないかしら(笑)
『クリエイターズ・インタビュー』のみなさんのアイデア帳とか見たら、「世の中の人は、みんな、こんなに几帳面にやっているんだね」と思って・・・(笑)
 
私がこのインタビューをはじめたきっかけなんですが、商品デザインをするときに、毎回0(ゼロ)にしないと同じものしか出て来なくなってしまうんです。だから、私は、新商品をデザインするときは、毎回、スケッチ・ブックやノートから変えてみたりするんですね。
 
植草 そう!そういう状態です。1枚づつ。
 
あっ。そっか〜!一枚づつがそういう状態。なるほど、一枚づつが真剣勝負なんですね。
 
植草 そうね。もちろん同じようなものになってしまうことはあるけれど、ラフ・スケッチは残さない。
 
そう言いつつ、この日のために取って置いてくださった何枚かのラフ・スケッチを広げながら
「ラフ・スケッチは捨ててしまうんだけどね、でもね、戻ってきた原画は捨てられないのよ〜。
そういえば、他のイラストレーターさんはどうしているんだろう?わたしも聞いてみたいわ」と話す桂子さん。

ちょうど、その時、桂子さんのお友だちのイラストレーターさんが通りかかりました。
なんと、この『クリエイターズ・インタビュー』をご存じとのこと。
そこで、急きょ、インタビューに参加していただくことに・・・。

次回は、桂子さんのお友だちも登場するインタビューの続編。
桂子さんのラフ・スケッチ公開やものづくりのヒントをご紹介いたします。
 
クリエーター:植草桂子(イラストレーター・アーティスト)
インタビュー:ワタナベアケミ(Cカンパニー デザイナー)

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